日本に暮らしている皆さん、今の生活環境に満足してらっしゃいますか?
おそらく多くの方が不満なのではないでしょうか?
経済的に安定しないことから将来への不安は付きまとい、保身が最優先事項なのが丸見えの政治にはことある度とに絶望させられ、できることなら日本を脱出したい!と思っている方も年々増えてきているのかもしれません。
それでは文化の側面にからこの日本を見てみるとどうでしょう。
美しさに溢れる日本
日本には軽く何百年の歴史をもつ文化芸術があります。
茶道、花道、書道などの「道」と名のつく文化や、能楽、狂言などの芸能、そして絵画や陶芸などなど、我々の生活の至る所にとんでもないクオリティの芸術が溢れかえっています。
しかし、残念なことに素晴らしいものに囲まれているのにその良さにまだ気が付いていない方が日本人の大半です。
こんなことを言うと、日々の暮らしに必死で美意識を磨く時間などないというお叱りの声がかえってきます。
食っていくには働いてお金を稼がなければなりませんからね…
この令和の世の中では、武士は食わねど高楊枝は通用しません。なんとも世知辛い話です。
しかし、その経済優先の生活のスタイルが逆に自らを貧困に貶めているとしたらどうでしょう。
ソマティック・マーカー仮説
ソマティック・マーカー(somatic marker: 身体信号)仮説とは、脳神経学者のアントニオ・ダマシオによって唱えられた意思決定において情動的な身体反応が重要な信号を提供するという仮説である。
ここからのお話は山口周さんの著書『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』を参考にして進めていきます。
ある日、ダマシオのもとに脳の前頭前野の腫瘍を取り除く手術を受けた後に、論理的思考には何ら問題がないのに日常生活や仕事での意思決定が全くできなくなった男性、エリオットが訪ねてきたそうです。
エリオットは一見健康な方に見えるのですが、ダマシオは彼と話すうちに、彼の異様さに気付いていきます。
エリオット自身に起きた不幸について話しているのにまるで第三者のような態度を終始とっていたり、悲惨な事故現場の写真を見せた時などにも感情的な反応がほとんどみられないのです。
さらにエリオットは脳の手術以前は好きだった音楽や絵画についても、感情の高まりが全くなくなってしまったというのです。
そこでダマシオはエリオットと同じように脳の前頭前野を損傷した患者12人について調査を重ねたところ、全てのケースにおいて極端な情動の減退と意思決定障害が起こっていることを突き止めました。
この発見をもとに、さらに考察を重ね、ダマシオはソマティック・マーカー仮説を提言しました。
ソマティック・マーカー仮説によれば、情報に触れることで呼び起こされる感情や身体的な反応が、脳の前頭前野腹内側部に影響を与えることで、目の前の情報の良し悪しの判断を助け、意思決定の効率を高めています。
つまり、意思決定においては感情は積極的に取り入れられるべきだということになります。
現代人に必要なもの
ソマティック・マーカー仮説については賛否両論がありますが、もしそれが正しいのだとしたら、美しいものに溢れている日本に暮らしていながら美しいと感じていない方は、日常生活や仕事において正しい判断をできていないのかもしれません。
繰り返しになりますが、確かに経済的に豊かになるためには日本は最適な場所ではないかもしれません。
しかし、美しい芸術文化に溢れ、美的センスを磨くには日本が最適な場所であることに間違いありません。
お世辞にも「自分には美的センスがある」とは言えない僕が何を言っているんだという感じもするのですが、そんな僕だからこそ、みんなで見る目を養おうと伝えていきたいのです。
先人たちが当たり前のように持ち合わせていた美意識は現代を生きる僕らにも備わっているはずです。
だからこそ、「日本人は変」といまだに言われるのでしょうし、それを強みとしていくのもいい手だと思います。
技術や仕組み、デザインなどは結構簡単に真似されてしまいますが、世界観や文化は真似できません
最後までお付き合い頂きましてありがとうございました。
これからも日本の美しいものを紹介していこうと思いますので、またお目に書かれましたら幸いです。
それではまた〜